allegory

怪獣は深い眠りにつく傷だらけで血だらけ

だけど誇らしげに朝を迎えるんだろう。

怪獣が守ったのはあの娘の命だけじゃない僕らが手にできなかった尊厳や勇気、希望

それらの戦利品を大事そうに抱いていた。

怪獣が見る夢は血生臭くない明日のこと どこまでも澄み切って永遠に続く空のこと

踊りだしてしまうような音楽のこと 旅人から聴いた冒険物語のこと

穏やかな表情には朝焼けの陽が当たり眩しい。

なのにピクリともしない。起きることのない怪獣。

怪獣の横には希望を託したように一輪の花が咲いた。