雨の匂いに敏感になった。雨が降ればあいつが悲しそうに空を見上げるから。
感情が顔に出て隠しきれないくせに隠し事が多くてムカつくよ。
たとえ、それが優しさだとしても そんなの嫌だよ。
私を一人にして背中で「じゃあな」って言って私の知らない街へ旅立つんだ。
何度も見てる背中なのに大きくなった背中に驚いたよ。言わないけど
泣かないあいつの拠り所でありたい。
あいつの代わりに涙も流すだろうし、あいつの代わりに思い出も語るよ。
あいつが空に手を突き上げるときには、私も突き上げる。
大きくなった背中が遠くに行ってしまう前に私も歩き出すよ。
私がここから始まるよ。