花の名は

空は赤く染まり望んでもいないのに感傷に浸らせる

涙を浮かべて歩くけど誰の声も聞こえはしない 誰の視線も刺さらない

今さら 出口のない迷路に文句を言ったって惨めになるだけだと

あの人の言葉を繰り返すけど もういない あなたも私もどこにもいない

季節にさえも置き去りにされ いつか帰り道に見つけた花の名も忘れた

大切に両手で抱えていた思いも端っこから枯れてしまえばあっという間に

形を消して何もなかったように静観なのに

あの花の名前を知らなかった頃には戻れないと泣いた