蝶の羽

飛べるようになった蝶は旅立ちに懐疑的でいつまでも同じ所をグルグルと飛ぶ

花に顔を近づけて指に蝶を乗せて「私に似てる」なんて君が言う。

やわらかい日差しが僕らを包んで大きく呼吸をする。

こんな風にしてられるのも あと少しの間だね

僕は君の寂しさを和らげる術を持たぬまま並んで歩く

いつまでもくだらない話をしていればこんな冷たい空気も平気なのに

僕らはあまり口を開くこともできずにいる。

それでも君の笑顔に救われ蘇っていく体温が自分らしくあれと叫ぶ

大した言葉は見つからないけどあの公園のベンチに座って話をしよう。

綺麗な羽をはためかせる蝶だっている。