唇を指で触って他愛のない時間を幸せと名付ける恋人たち

小さな我が子の命の煌めきを抱きしめて感じる母親

清々しい顔で空を眺める余命幾許かの老人

詰り合っても夜になればまた夕食を囲う家族

やっと見つけた夢の端っこさえも掴みきれずにもがく若者

コーヒーが美味しく感じるのは秋めく空気感に押し切られたから

それぞれの場所でそれぞれの音楽が鳴り響く

窓枠の向こうにストーリー想像のつかないストーリー

こんなに近くにいても知れないことの多さが心地いいね。