或る街の夕暮れ

夕凪を歩く。ありもしない記憶の中を辿る

一瞬にして轟音が響き閃光が迸る。

熱に突き刺されて動けない。手足は、どこへ行ってしまったんだろう。

こんなとき失くしたモノばかりが頭の中をよぎるけど

本当に欲しいモノなんて守れたのだろうか

尽きない後悔はどこかでのうのうと呼吸するあいつにまかせよう。

尽きない悲しみは、ポケットに入れて持ち歩くよ。

花束を携えて夕凪を歩く。

なんて暑い日、それでももう少し歩くよ。

悲しみに少しくらい近づけるかもしれない。