正常
窓枠に収まる世界で好きも嫌いも希望も絶望も可能も不可能さえも
怪訝な顔で知った風に生きていた
まるで永遠がそこにあるように生き続けていたんだ。
窓を開け放って冷たい空気が僕を包んで頭を正常に戻していく
視界もひらけて瞳に光が射し込んでくる。
街の色も音も壊れていく命にも気づいた。
形は変わっていく あの木も雲も人でさえも
それは、二度と戻らないことだと知った。
何も知らぬ餓鬼が粋がってたことが何よりも恥ずかしく恐ろしい。
記憶の中だけで美しくなっていく「思い出」らしきものの正体は何者だろう。