出発の詩

あの日、火を放って全てを燃やした。

見る見るうちに灰に変わっていく景色が僕らを恨んででいるようだった。

土に還って影も形もなくなったのに消えてくれない記憶と痛みを抱いて前へ進むよ

今の僕らがあるのは、この痛みのおかげだ。

全てを肯定なんてできない。いや全否定されたほうがいい。

この身体も精神もどこか遠い場所へ行ってしまった。

鞄を抱えて乗り込む電車

笑顔で見送ってくれる人々

なにひとつ守ることなんて出来たことはないけど

もう失うことなんてしたくないんだ。

空は灰色。ここに旅立ちを記す。